「冬虫夏草」には、花が咲かないと聞いたのは、冬虫夏草をよく知る友人からでした。以前より、漢方や薬膳などに使用される万能薬的なものだという事は、聞かされていましたが、そのネーミィングが不思議な名前でしたので、さぞかし魅惑的な花が咲くのではないかと思っていました。友人曰く、「冬虫夏草」は、「きのこ」なのだそうです。元々、「きのこ」には、花は咲かないものなのだそうです。どうして、「冬に虫」、「夏に草」なのかと言うと、「きのこ」の「菌」が、虫に纏わりつき、虫たちの知らぬ間に、「きのこ」の菌が虫たちの内部に入り込んで、その養分を吸収しながら、虫の亡骸を自分たちの宿主として占領してしまうからなのだそうです。虫たちに寄生する事で、自らが成長する「きのこ」の事を「冬虫夏草」と呼ぶのだそうです。

冬のシーズンには、虫の中に身を潜め、夏になると虫たちを占領し、その体内から表に出てくるので、「冬に虫」、「夏に草」というような不思議なネーミィングになったようです。以前、中国の女子の陸上選手たちが、世界記録を出し続けた際に、その秘密として冬虫夏草を飲んでいたという発言から、一時期は、全く手に入らなくなった幻のきのこであったようですが、最近は、日本産の冬虫夏草も出回っているようですので、だいぶ庶民的な幻の「きのこ」になりつつあるようです。気になる冬虫夏草の効果ですが、中国では古来から、不老長寿の薬などと言われていたようです。

その足跡を辿ってみると、楊貴妃や、秦の始皇帝などの名前が挙がってくる事から、古い歴史において人々の間では珍重されていた貴重な「きのこ」であったような事が伺い知る事ができます。