家族信託では、高齢者、未成年、障害者などを受益者としてこれらの人達を支える仕組みとなっていることが多いのですが、受益者自身が委託した財産管理業務をしっかりチェックできないことが想定されます。そこで受益者に代わって適正に業務を遂行しているかを監視・監督する信託監督人を設置するという方法があります。この監督人には資格制限はなく、家族の中から選ぶことも可能です。しかしたとえば高齢の親を受益者として、その家族信託を行う受託者が長男、信託管理人が長女であった場合、兄弟姉妹間で冷静かつ客観的に業務をチェックできるのかという問題があるだけでなく、信託監督人を置くことでかえってトラブルに発展しかねない危険性があります。また信託管理人には受託者を解任する権限を持たせることもできるので、受託者の解任につながることもありえます。そのため家族を信託管理人に指定することは慎重に考えるべきことなのです。