レトルト食品

レトルト食品は「プラスチックの袋に入れられ、レトルトの方式で殺菌処理された食品」を意味しますが、発売当初は消費者の不審を生んでいました。農林省でも消費者の行動を調査する必要性を感じ、主婦連合会の協力のもとで実施しました。その結果、多くの消費者が「レトルト食品」を判別することが出来ず、定義も曖昧なことに不安を抱いていることが分かりました。そこで1975年には「レトルトパウチ食品の日本農林規格」が制定され、不安の払拭に乗り出しました。まず改められたのは、その名称でした。「レトルト」は殺菌方法を意味する言葉ですから、「レトルト食品」は不自然な言い回しとも言えます。そこで、「レトルトパウチ食品」と正式に名付けられることになりました。レトルトパウチ食品に関する基準は厚生省において定められ、成分規格、製造基準、包装の規格、表示基準が各食品メーカーに通達されることになりました。

 厚生省で基準が制定されて以降は、レトルトパウチ食品として売り出せる条件が厳しくなりました。少なくとも、プラスチックフィルムやアルミニウム箔の積層品であること、気密性の高い袋であること、ヒートシーリングによる密封が可能であること、加圧加熱殺菌が可能であること等はクリアしなければならなくなったのです。加えて、遮光性、強度、形状の条件も課されることになりました。食品の内容によっては遮光性を条件とすること、落下試験、圧縮試験を通過すること、殺菌処理で変形しないことが求められたのです。

 実はあまり知られていないのですが、レトルトパウチ食品として表示できる食品の種類を日本農林規格が定めています。それによると、カレー、パスタソース、スープ、米飯、ハンバーグ、魚肉等に限られています。