とりわけ主役である絵画や写真などと同等の価値があるように思えてなりません。日本家屋の住居環境の中では、絵画や写真をインテリアとして装飾する習慣は日本人の興味の中には希薄であると常々考えておりますが、西洋文化においては、住居環境において絵画や写真をインテリアとして装飾することは、日本人が帰宅すると玄関で靴を脱いで生活するように当たり前の習慣でもあるようです。日本人が絵画や写真を自宅の壁に装飾しない人種であるということは、古来からの日本人の美意識による影響が非常に強いようですが、現代の日本社会において、これだけの西洋文化が雪崩のように日本人の生活習慣の中に流れ込んでいるなかで、額装に興味がある人々が多くはないことに少しばかり驚いている筆者でもあります。絵画や写真などのアート作品を保管する入れ物として額縁を認識している方も多いかもしれませんが、額は単体としてそのものがアートであることもあります。それだけ額装アーティストたちは、自由な発想をもって額装づくりに励んでもいるようなのです。もちろん額装の存在意義は、主役となる絵画や写真などを引き立て役としての脇役ではありますが、主役の魅力を引き出せる名アシスタントでもあるのでしょう。